家族の加入・削除について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- POINT
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- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に届出をしてください。
家族の範囲
被扶養者となれる家族の範囲は、三親等内の親族と決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。
認定基準
収入の基準
被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要です。
- ※健康保険における被扶養者の年間収入のとらえ方は、税法上の扶養(その年の12月31日時点の状況で判断)とは異なり、届出日から向こう1年間の継続性のある収入見込額とし、認定における収入の限度額は厚生労働省通知(昭和52年4月6日保発第9号)に基づきます。
同居している場合 | 別居している場合(※1) | |
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59歳以下 | 対象者の年収が130万円(月額108,334円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること(※2) | 対象者の年収が130万円(月額108,334円)未満、かつ、対象者の年収の12分の1が被保険者からの仕送額(※3)より少ないこと |
60歳以上または障がい厚生年金手帳要件該当者 | 対象者の年収が180万円(月額15万円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること(※2) | 対象者の年収が180万円(月額15万円)未満、かつ対象者の年収の12分の1が被保険者からの仕送額(※3)より少ないこと |
○扶養認定基準額(上限額)
年収で判断するほか、直近の月額収入で判断する場合、また雇用保険法に基づく基本手当や健康保険法等に基づく傷病手当金や出産手当金などを日額で判断する場合は下表を基準額とします。
年額 | 月額 | 日額 | |
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59歳以下 | 130万円未満 | 108,334円未満 | 3,612円未満 |
60歳以上または障がい厚生年金手帳要件該当者 | 180万円未満 | 150,000円未満 | 5,000円未満 |
- ※1 下記に該当する場合は、同居している扱いとします。
- ①被保険者が事業主の命によって単身赴任している場合
- ②学生の子および障がい年金受給者が住居を別にしている場合
学生の子とは、学校教育法第一条に規定する並びに学校法人または各種学校の学生および生徒。
(定時制・夜間・通信教育過程を除く) - ③従来被保険者と住居を共にしていた被扶養者が次の施設にいる場合
- (1)病院または診療所
- (2)老人保健施設
- (2)障がい者支援施設
- ※2 学生の子および障がい年金受給者の場合は、2分の1未満の条件は対象外です。
- ※3 仕送額は54,000円/月を下限とします
収入の範囲
原則として次に示すような継続的に生じる収入のすべてを含みます。
(1)勤労収入 | 通勤交通費等の非課税収入および賞与を含む総収入 |
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(2)年金収入 | (厚生年金、国民年金、各種共済年金、船員保険年金、農業者年金、企業年金、私的年金、各種の恩給、遺族年金、障害年金等で非課税扱いの年金を含む) |
(3)事業収入(※) | 自営業、農業、漁業、林業等 |
(4)給付金等 | 健康保険法等に基づき支給される出産手当金、傷病手当金(付加給付を含む)や労働保険各法に基づき支給される給付金等 |
(5)利子・配当収入 | 預貯金、有価証券利子、株式配当金等 |
(6)副業収入 | 原稿料・講演料等、不動産賃貸料収入 |
(7)被保険者以外の 者からの仕送り |
生計費、養育費等 援助費総額等 |
(8)その他継続的に 受ける収入 |
- ※事業・不動産・農業収入に関しては、総収入から直接的必要経費を控除した額を基準収入とします。
扶養申請時は確定申告書・収支内訳書の写しと直接的必要経費申告書を提出ください。
任意継続被保険者、産前産後並びに育児休業中および傷病による休職中また、無給中の方の収入は、下表のようになります。
任意継続被保険者 | 任意継続による標準報酬月額 |
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休職中(無休中)の方 | 標準報酬月額の3分の2 |
仕送りについて
扶養認定対象者と同居でない場合の仕送り額は、下表の額以上かつ被扶養者の収入年額の1/12以上であることが必要です。
ただし、「被保険者が単身赴任をしている場合」「学生の子」「障がい年金受給者」については、同一世帯とみなすため、仕送りの確認は行いません。
被扶養者 | 仕送り額(下限) |
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1人 | 54,000円/月 |
2人目以降 | 上記に27,000円/人月を加算 |
- ※上記金額は認定を行う上での基準の一つです。他に扶養義務のある親族の方の収入や、対象者の住居(持家か借家)など、個々の具体的事業を確認のうえ、個別に決定します。
- ※仕送りは生計を維持することを目的とすることから、原則として毎月行っていることが条件となります。ただし、年金支給が2ヶ月毎に一度ある場合は、2ヶ月に1度の仕送りでも可とします。
- ※仕送りは、手渡しなどは、認められません。必ず公的第三者によって証明可能な証拠を保管してください。その証明として、公的第三者によって発行されている以下の書類のいずれかを保管してください。
- ・銀行または、郵便局の振込み伝票の控え<写し可>もしくは通帳の振込みが確認できる部分<写し>(提出時は、送金以外の収支欄、残高欄は消してください)
- ・現金書留の領収証<写し可>
- ※被扶養者資格調査(検認)の際は、一年分の証拠を確認させていただきます。
扶養認定日について
扶養申請書類は、事業主にて添付書類を含め全て揃った状態で、原則事由発生後5日以内に健保組合へ提出してください。
ただし、5日を超えて扶養申請書類を提出した場合は、下記の通りとなります。
5日を超えて2ヵ月以内の場合 | 新たに被保険者となった場合 | 資格取得日 |
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上記以外の場合 | 事実発生日 または届出受付日 |
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2ヵ月を超える場合 | 原則として認定できる書類が揃った日、ただし、出生の場合は出生日 |
その他効力が発生する日の 取り扱い |
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扶養削除日について
事由 | 削除日 | 備考 |
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パート収入が基準額を超えた場合 | 収入増が確認できた日 | 3ヵ月の平均収入額を年額に換算し、基準以上となったときは、4ヵ月目の初日。 ただし、雇用契約等により年間収入が基準額以上と見込まれるときは、明らかになった日(契約開始日)。 |
就職 | 加入先の健保資格取得日 | 勤務先が国民健康保険加入事業所の場合、雇用契約書等記載の雇用開始日。 |
雇用保険受給 | 受給開始日 | 雇用保険の基本手当の日額が3,612円(60歳以上5,000円)以上の場合 |
同居条件者が別居になったとき | 別居した日 | |
死亡 | 死亡日の翌日 | |
離婚 | 離婚が確定した日 | 戸籍上の日付 |
後期高齢者(後期高齢者医療制度) | 被保険者となった日 | 75歳の誕生日から後期高齢者医療制度に加入します |
年金収入が基準額を超えた場合 | 年金改定日 | 新たに年金受給権が発生し、年金受給額が基準額以上のときまたは年金の改定により基準額以上となったときは、当該年金に係る裁定通知書もしくは改定通知書の交付日。 |
夫婦がともに被保険者である場合の子の認定
【夫婦が共同して扶養している場合における認定の取扱いについて(昭和60年6月保険発第66号 厚生省通知による)】
- 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、年間収入の多い方の被扶養者とすることを原則とします。
- 夫婦双方の年間収入が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とします。
- 共済組合の組合員に対しては、その者が主たる扶養者である場合に扶養手当等の支給が行われることとされているので、夫婦の双方またはいずれか一方が共済組合の組合員であって、その者に当該被扶養者に関し、扶養手当またはこれに相当する手当の支給が行われている場合には、その支給を受けている者の被扶養者とします。
被扶養者資格調査 (以下、「検認」という。)
過去に認定された時の資格が継続されているかを確認するために実施をいたします。
検認を実施することで医療費の適正な給付を実施するだけでなく、高齢者医療制度への余分な負担金を抑制し、皆様よりお預かりしている大切な保険料を適正かつ有効に使用することが可能となりますので、事業主・加入者の皆様には、ご負担をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
検認案内時期 | 12月中旬 |
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調査実施時期 | 12月中旬~1月末 |
Web回答締切 | 1月末 |
調査による扶養取消し日(※1) | 当年1月1日 |
- ※1 就職など日付が確認できる場合はその日に遡及します。
被扶養者認定に必要な添付書類一覧
健康保険被扶養者(異動)届に添付する書類一覧「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 参考リンク
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
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年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
被扶養者認定における国内居住要件の追加について
2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)
国内居住要件の考え方について
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。
- ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。
国内居住要件の例外
外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。
【国内居住要件の例外となる場合】
- ① 外国において留学をする学生
- ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
- ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
- ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合
医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。
経過措置について
国内居住要件の追加により被扶養者資格を喪失する方が、施行日(2020年4月1日)時点で国内の医療機関に入院している場合、経過措置として、入院期間中は資格が継続されます。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産などにより被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡などで、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。また、被扶養者が75歳になった場合にも、被扶養者からはずす手続きが必要となります。